以前、作った動画「いつかどこかの物語」の原案です。
内容は、動画制作した部分と、それと同時に考えていた、その後の物語です。
廃村となった村に一人の少女がいた。
戦火に焼かれた村の、ただ一人の生き残り。
少女は、荒れた畑を掘り起こしては、残された幾ばくかの作物を探す日々を送っている。
ある日、少女は、食べ物を探している最中、岩場で一人の忍者と遭遇した。
少女は驚いた。
その忍者は、戦地へ向かう途中であった。
仲間との合流に、この廃村を選び、そこで仲間を待っていた。
その無人と思っていた村に、人がいる。
遭遇して驚いたのは、少女だけではなかった。
驚いた少女は走り去り、忍者は立ちすくんだ。
次の日、少女は別の場所で食べ物を探した。
しかし気がつくと、狼がすぐそばまで来ていた。
身の危険を感じた瞬間、人影が現れ、狼は死んだ。
突然の事の連鎖に驚き、走り去る少女。
何が起こったのかを理解するのには、少し時間がかかった。
気持ちが落ち着いた少女は、助けてくれた忍者を探した。
程なくして、忍者は見つかった。
忍者は、先日、遭遇した場所(合流場所)へ戻る所だった。
忍者が、少女の気配を感じて歩みを止めた。
少女の歩みも止まる。
忍者が再び歩き出すと、少女もそれに合わせて付いてきた。
怒鳴るわけにも行かず、力ずくで突き放すわけにも行かず。
忍者は困ってしまった。
歩いては止まる。 ただそれを繰り返すしか出来なかった。
少女の方は、少女の方で、自分の心に起こっている事を分かってはいなかった。
言葉にならない感情が生まれ、それに押されるように、ただただ後を追っていた。
二人の心の押し問答が続いた後、遂に忍者が折れた。
夕刻。
忍者は、少女の住む小屋で一緒に寝た。
少女は久々に深い眠りに付いた。
翌日。
忍者は、少女と一緒に食べ物を探した。
食べ物を探し終えると二人は、出会った岩場へ向かった。
仲間の忍者を待つため。 少女には何も伝えていない。
岩場に腰掛ける二人。
長い時間じっとしていた少女だったが、少し身体を動かしたくなった。
忍者は、少女の気配を感じながら、座っている。
少し陽が傾いてきた頃、待っていた仲間がやって来た。
立ち上がる忍者。 次の戦場へ行かねばならない。
別れ。
忍者は少女に向き合い、一輪の花を渡した。
特別な花ではない。 周囲を見回して、その中で目立っていた花を摘んだだけだ。
仲間の忍者は何も言わなかったが、状況は察してくれた様だった。
そして駆け出す忍者たち。
荒れ果てた地に、子供を再び一人きりにしなければならない。
戦争は熾烈を極めた。
泥臭い戦い。
勝者も敗者も分からない。
いつしか動く者はいなくなり、炎が揺れるだけになった。
翌朝。
再び一人きりになった少女が、食べ物を探している。
以前と同じ事が繰り返される。
ただ一つ、少女は以前とは違った行動をする様になった。
時折、何かを感じたかのように岩場に駆け寄り、道の遥か先を見つめるのだった。
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岩場に座って遠くを見つめている少女。
ある日、そこに二人の少年やってきた。 彼らも孤児。 戦火を逃れて辿り着いた。
その日から三人一緒の生活が始まった。
一緒に食べ物を探した。 一緒に遠くを眺める事もした。
ただ、食べ物がそれほどあるわけでもなく、ある日、少年の一人が体調を崩し、倒れた。
何も出来ず、少年は息を引き取る。
そこから月日は流れた。
戦乱は収まりつつあった。
廃村だった地には、戦火を逃れて来た人が少しずつ集まって、徐々に活気が出てきた。
畑を耕すことも始められている。
畑を耕す人の中に、一人の女性がいた。
かつて、この村でたった一人、生き残った少女だ。
その女性の近くでは、小さな男の子が、石を運ぶ手伝いをしている。
彼女の子供である。
ある時、とても爽やかな日があった。
子供は駆け出して、草むらを覗き込んだりしている。
心地よい夕暮れ時。
気がつくと、あの岩場に来ていた。
子供の頃から何度も見ている景色。
その時、耳元に、そっと風が吹いた気がした。
女性が、その感触に気を取られていると、いつの間にか、子供が目の前に立っていた。
しゃがみ込んで、子供と目線を合わせる。
すると子供は、一輪の花を差し出してきた。
女性は驚いた。
その花、その仕草は、かつて見た光景と、そっくりだった。
※動画は一番下にあります。
映像(と音楽)だけで表現するための内容となっている為、文字で同じものが伝わるかどうか・・という不安がありますが。
ずっと腹に抱えたままなのも良くないので、ここで全部書き出すことにしました。
現状では続編製作の予定もありませんし。(現時点では撮影不可能)
現状では続編製作の予定もありませんし。(現時点では撮影不可能)
あと先に言っておきますが、動画を見て、これと違った解釈をされても問題ありません。 それも正解です。
これは、お伽噺。 様々な受け止め方をしてくれた方が嬉しいです。
長い文章になりますが、ご容赦ください。
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いつかの時代、どこかの場所の、「いつかどこか」の物語【原案】
【1】
戦乱の時代。
廃村となった村に一人の少女がいた。
戦火に焼かれた村の、ただ一人の生き残り。
少女は、荒れた畑を掘り起こしては、残された幾ばくかの作物を探す日々を送っている。
ある日、少女は、食べ物を探している最中、岩場で一人の忍者と遭遇した。
少女は驚いた。
その忍者は、戦地へ向かう途中であった。
仲間との合流に、この廃村を選び、そこで仲間を待っていた。
その無人と思っていた村に、人がいる。
遭遇して驚いたのは、少女だけではなかった。
驚いた少女は走り去り、忍者は立ちすくんだ。
次の日、少女は別の場所で食べ物を探した。
しかし気がつくと、狼がすぐそばまで来ていた。
身の危険を感じた瞬間、人影が現れ、狼は死んだ。
突然の事の連鎖に驚き、走り去る少女。
何が起こったのかを理解するのには、少し時間がかかった。
気持ちが落ち着いた少女は、助けてくれた忍者を探した。
程なくして、忍者は見つかった。
忍者は、先日、遭遇した場所(合流場所)へ戻る所だった。
忍者が、少女の気配を感じて歩みを止めた。
少女の歩みも止まる。
忍者が再び歩き出すと、少女もそれに合わせて付いてきた。
怒鳴るわけにも行かず、力ずくで突き放すわけにも行かず。
忍者は困ってしまった。
歩いては止まる。 ただそれを繰り返すしか出来なかった。
少女の方は、少女の方で、自分の心に起こっている事を分かってはいなかった。
言葉にならない感情が生まれ、それに押されるように、ただただ後を追っていた。
二人の心の押し問答が続いた後、遂に忍者が折れた。
夕刻。
忍者は、少女の住む小屋で一緒に寝た。
少女は久々に深い眠りに付いた。
翌日。
忍者は、少女と一緒に食べ物を探した。
食べ物を探し終えると二人は、出会った岩場へ向かった。
仲間の忍者を待つため。 少女には何も伝えていない。
岩場に腰掛ける二人。
長い時間じっとしていた少女だったが、少し身体を動かしたくなった。
といっても遊ぶ訳ではない。 動く=食べ物を探す、である。
忍者の姿が見える範囲で、何か食べられそうな物はないかと探した。忍者は、少女の気配を感じながら、座っている。
少し陽が傾いてきた頃、待っていた仲間がやって来た。
立ち上がる忍者。 次の戦場へ行かねばならない。
別れ。
忍者は少女に向き合い、一輪の花を渡した。
特別な花ではない。 周囲を見回して、その中で目立っていた花を摘んだだけだ。
だがそれに、帰ってくるという約束と、それが守れないかもしれないという事の詫び、更に生きてほしいという想いを込めた。
仲間の忍者は何も言わなかったが、状況は察してくれた様だった。
そして駆け出す忍者たち。
荒れ果てた地に、子供を再び一人きりにしなければならない。
背中に少女が駆けて来るのを感じつつも、忍者はそのまま走り去った。
戦争は熾烈を極めた。
泥臭い戦い。
勝者も敗者も分からない。
いつしか動く者はいなくなり、炎が揺れるだけになった。
翌朝。
再び一人きりになった少女が、食べ物を探している。
以前と同じ事が繰り返される。
ただ一つ、少女は以前とは違った行動をする様になった。
時折、何かを感じたかのように岩場に駆け寄り、道の遥か先を見つめるのだった。
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【2】
岩場に座って遠くを見つめている少女。
どれくらい、これを繰り返しているか分からない。
ある日、そこに二人の少年やってきた。 彼らも孤児。 戦火を逃れて辿り着いた。
二人は少女に話しかけ、一緒に行かないかと誘う。 が、少女は此処を離れないと言う。
廃村だが、寝泊まりできる小屋があるという事で、少年たちは此処に留まることにした。
その日から三人一緒の生活が始まった。
一緒に食べ物を探した。 一緒に遠くを眺める事もした。
ただ、食べ物がそれほどあるわけでもなく、ある日、少年の一人が体調を崩し、倒れた。
何も出来ず、少年は息を引き取る。
そこから月日は流れた。
戦乱は収まりつつあった。
廃村だった地には、戦火を逃れて来た人が少しずつ集まって、徐々に活気が出てきた。
畑を耕すことも始められている。
畑を耕す人の中に、一人の女性がいた。
かつて、この村でたった一人、生き残った少女だ。
その女性の近くでは、小さな男の子が、石を運ぶ手伝いをしている。
彼女の子供である。
少女は、生き残ったもう一人の少年と夫婦になり、母親となっていた。
ある時、とても爽やかな日があった。
一仕事終えた女性は、やわらかい風に誘われるように、子供を連れて村の外に出た。
子供は駆け出して、草むらを覗き込んだりしている。
心地よい夕暮れ時。
気がつくと、あの岩場に来ていた。
子供の頃から何度も見ている景色。
その時、耳元に、そっと風が吹いた気がした。
女性が、その感触に気を取られていると、いつの間にか、子供が目の前に立っていた。
しゃがみ込んで、子供と目線を合わせる。
すると子供は、一輪の花を差し出してきた。
女性は驚いた。
その花、その仕草は、かつて見た光景と、そっくりだった。
完
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以上です。
後半は、大半がシルエットで話が進むことを想定しています。
極めて難しいのですけれど。
動画の出だしは、頭の中で「戦場のメリークリスマス」を流しながら撮りました。
最後は、本を閉じるような感じにしたつもりです。
そしてクレジットは、涙が本に落ち、染み込む様をイメージして作りました。
これで全部、出したかな。
得体の知れない記事に、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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